emperor(帝) と king(王)

 イランからシャーがエジプトに亡命した頃だったのだが、竹村健一がテレビで得々と語っていた。

「シャーというのはエンペラーでこの称号を使えるのは世界では日本の天皇とイランのシャーだけなんだ。イギリスはクイーン・女王・や」と。

しかし、アーネスト・サトウの「一外交官の見た明治維新」には、このエンペラーとクイーンのことが日英外交文書の初期段階で問題になったと言う。初めは英国、クイーンと言っていたのだが、釣り合いが取れないので、エンペラーにしたという。

 これは英語を学び、外交・政治の基本的な知識のはずなのだが、実にいい加減なことを言う人物がマスコミ界で跋扈していたことになる。

 この王と帝、これでいくと明治維新の時に王政復古を唱えた。この「王」とは誰のことか? 天皇を意味しているとしたら、「帝」という世界の覇者に屈服することを意思表示していることになる。