共存共貧について

 栗原康さんの「共生の生態学」を読んだ。共存共貧についてある実験が紹介されていた。養分が豊富な培養液より不足気味の培養液の方が生態系が維持されている。養分が豊富だと強いものが一人勝ちをして、共生という生態系を壊してしまう。生物において独り勝ちは滅びるという。

 ソ連が崩壊して、その後のアメリカ、一人勝ちの様に思えたのだが、結局、崩壊の危機に晒されている。

 外食産業でもそうだが、マクドは一人勝ちをしたが、お店の内容を大きく変えてしまった。客の好みは移ろっていく。それをどう先取りするのか?

 インドは牛を神聖視してその肉を食べないが、牛乳は頂いている。恐竜・中生代を腹の中に継承している動物を神聖視するというのも慧眼である。そのインド文化が今世界をリードしようとしている。

 日本は天皇という古代の政治・宗教システムを内包して社会が運営されている。アメリカ流の民主主義はネイティブ・アメリカンの犠牲の上に成り立っている。

 それぞれの生物体は古代を内包しながら共存共貧という大原則でかろうじて生きている。地球温暖化とか生物多様性とか、試行錯誤しながらこの共存共貧に至って、共生のための原則が発見される。