ドイツの二枚舌外交

 「今度はイタリア抜きで・・・」とドイツ人が日本人に言うそうだ。これは庶民レベルの善意である。

 ドイツは表では日本と同盟をしていたのだが、裏では中国に軍事・経済援助をしていた。中国人がドイツ軍に好意を持ったのは義和団事件以来で、日本軍は軽蔑された。理由は民衆にレイプ・略奪をするドイツ軍が頼もしく、秩序ある紳士的な日本軍は弱腰と判断、これが大陸の大衆の軍隊に対する評価基準であった。

 この事件の4年後、日本軍はロシア軍と満州で戦うことになる。この戦いで南満州鉄道の利権を日本は手に入れた。このとき、アメリカのモルガン財閥から共同経営の提案があった。伊藤博文はそれを承諾したのだが、全権大使の小村寿太郎の猛反対で日本単独の経営となった。満鉄関係者の証言に「伊藤暗殺の黒幕は小村」というのがある。本当か?どうかわからないが、ありうる話である。

 第一次大戦で中国・太平洋のドイツ利権が日本に移った。これが英国や米国の日本に対する警戒心が起こるきっかけだったのだが、能天気な日本人は全く気づいていない。