私とアイルランド

 我が家にテレビがやって来たのは昭和34・1959年9月のことだった。その年の4月、皇太子ご成婚で、その中継を見るためにテレビを購入する家は多かった。半年遅れだった。

 その頃、アメリカ製のホームドラマが放映されていた。「名犬ラッシー」「家のママは世界一」「パパ、大好き」など。

 その「パパ、大好き」はアイルランド系の家族の話だった。お父さんはフレッド・マックマレー、3人の息子と妻の父、妻は亡くなっていた。だから、男ばかりの5人家族。ボブという名のおじいちゃんは炊事・洗濯の家事を引き受けていた。

 鼻歌を歌いながら、いつも故郷・アイルランドを自慢していた。

 町山智浩によれば、黒人やアイルランド系が政治に熱心だという。このアイルランド系からケネディが生まれた。

 1977年ニューヨークに旅行して、聖パトリックのカードが気に入ったのはこのドラマを見ていたからだと思う。

 スコットランド系の北アイルランド人が居て、彼らがアメリカに移民して、その子孫達が今、イラク戦争に行っている。

 司馬遼太郎によれば、アイルランドの海、海藻が豊かだという。ジャガイモが不作でも海藻を食料にすれば飢饉を克服できたのに彼らはそれをしなかった。ウェールズでは海苔を食べる。ウェールズ人のC・D・ニコルさんは日本に来て日本人が海苔を食べているので驚いたという。

 私の母方の祖父は滋賀・彦根の在の人で、いわゆる近江商人だった。故郷の琵琶湖と太閤さんを自慢していたという。近江商人・辻本常次郎は昭和19・1944年3月17日に亡くなった。