猪瀬直樹「ミカドの肖像」、永井路子「岩倉具視」

 永井の本は「陰謀史観業界」に衝撃を与えた。

 孝明天皇を暗殺して15歳の明治天皇たてた、こういう噂が明治初期から囁かれていた。この情報を正式に歴史家が問題にしだしたのは戦後の事で、それはアーネスト・サトウの日記に書かれていたからである。サトウの日記、戦前は機密扱いで、一部の研究者のみが要約で読んでいた。

 いろいろな歴史怪文書が出回っている。それを根拠に陰謀史観が形成される。

 そのポイントが岩倉による先帝暗殺だったのだが、永井によって完全に否定されてしまった。